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つくり手を訪ねて
のぞみの里 志摩学園

2013年9月

志摩の馬場にある「のぞみの里 志摩学園」は、51名が利用する障がい者支援施設です。
その敷地内に、6名の利用者と3名の専属職員でクッキーを作る工房「萌黄の種」はあります。

糸島産のお米や塩、新鮮で美味しいと有名な「つまんでご卵」の卵を使用するなど、こだわりの材料で作られたクッキー。
季節に合わせた商品もあり、春には桜、夏は抹茶やココナッツ、秋は紫いも、冬はきなこや生姜などなど...。全部で20種類以上のクッキーがあります。またバレンタインやホワイトデーには特別なパッケージになるそうですよ。
その他、結婚式の最後に配るお見送りのプレゼントや催しで子どもたちに配るお菓子などの注文を受けることもあるそうです。

そんな萌黄の種のクッキー工房を覗いてみました。


【クッキー工房の様子】

綺麗に掃除された工房内では、利用者の方も職員の方も着々と自分の仕事をしていました。

デジタルの計りの小数点以下がぴったり合うまで真剣な表情で計量する方。
ラッピングの蛇腹をまるで機械のように丁寧に、そして素早く、いくつもいくつも折っていく方。
似た商品のラベルを手慣れた様子で区別し、出来上がったクッキーにどんどん付けていく方。

私は気がつくと、そのまなざしや手つきをじーっと見つめていました。
初めてする作業は、職員の方が実際にやってみせたり、絵に描いたり文字で書いて提示したり。それぞれの理解しやすいやり方で伝えて、作業をしてもらうんだそうです。
自閉症の方特有のこだわりの強さも、それぞれのこだわりや性格が活かせる作業を毎日繰り返して行うことで、安定的にできるようになって自信がついたり、作ったものを食べてもらうことで喜びを得ることにつながっていきますね。
そこには、毎回同じことが繰り返せるように道具を作ったり、教え方を工夫する職員の方と利用者の方との丁寧な個々の関わりがあって成り立っているんだなと思いました。
そして利用者のみなさんは、終わったあとの一杯のコーヒーやクッキーをちょっとつまんだりすることが一番楽しみ!羨ましいですね〜


【のぞみの里 志摩学園の昔と今】

志摩学園は自閉症を持つ親の会の運動で国費によって建てられた、九州の中でも古い自閉症の専門施設です。施設ができた頃は社会全体の自閉症への理解は低く、誤解されてきた時代があり、保護者の苦労は多かったそうです。
そんな時代を経て、クッキーづくりは近年、新しい取り組みとして始まったそうです。
担当の仲西さんは、「施設内の作業だけで終わるものではないため、利用者の方の仕事へのやりがいが違う」と言います。
販売先に卸しに行く時は利用者の方も一緒に行ったり、施設外に出る機会が増えて利用者の方の楽しみになっているそうです。また、利用者の方の保護者も子どもが社会と関わる機会や作ったものを食べていただける機会があることは喜びになっているとか。

さらに2014年10月には二見が浦に工房を移転する予定!「将来的には新商品も開発してカフェを開けたらいいな」と仲西さん。
お話を聞くとクッキーづくり専属の職員は、以前お菓子職人として働いていた方が務められており、商品開発をしているそうです!美味しいはずですね〜
現在、糸島内でもたくさんの販売先があるので、是非一度ご賞味ください。


【ふたば祭にて】

そして志摩学園のお祭り、ふたば祭に行ってきました!
早めの時間に行ったため、「まだお客さん少ないかな」と思いましたが、なんとひろーい駐車スペースが埋まり気味!
マジックやダンスなどのステージや糸島のお店が出店するバザー、体験コーナーも充実し、たくさんの来場者で賑わっていました。
それからクッキー工房でお会いした利用者の方が普段着で楽しんでいる姿も見ることができ、なんだか笑顔になりました。


インタビュー 前田 綾子 千々岩 哲郎
写真と文  山下 舞