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つくり手を訪ねて
醇窯 高須 健太郎

2013年9月

レストランやカフェで使われている、人気の鉄彩シリーズに代表される「醇窯」。作り手の高須 健太郎さん。
志摩久家にあるギャラリー兼工房にお邪魔してお話を伺いました。


【きっかけと道のり】

高須さんが最初に陶器を作り始めたのは、大学生の頃。陶芸をされていたお母様の影響でした。
醇窯(じゅんよう)という窯の名前もお母様から受け継いだものだそうです。

高須さんが最初に陶器を作り始めたのは大学生の頃。
当時は法学部でしたが、陶器が出来上がっていく過程を目の当たりにして、徐々に関心を持ち始めます。
しかしそれよりずっと昔、小さい頃を振り返えると、ずーっと油粘土をいじって遊んでたことがあったそうです。
土を触ることへの関心はそのころから高須さんの中にあったんですね。


そして大学の4年生の時に陶芸を本格的に始めることを決め、陶芸が盛んな土地の学校に通おうと思います。そこで選んだのが、愛知県の瀬戸。
セトモノという言葉のもとになっている瀬戸焼の陶器。瀬戸では様々な技法に適した土が採れ、高須さんは今でも瀬戸の土を一番使うそう。
その瀬戸で高須さんは学校に2年通い、その後の半年間はいろんな作家さんのところに出入りして学んだそうです。

そして福岡に帰って2年後、糸島に現在の工房を構えました。

現在までを振り返り、高須さんは「自分は弟子入りしてないぶん、回りくどいというか失敗が多いと思う。ずっと、自分が作りたいものを作るというスタンスでやってたけど、最近は、求められるものを作っていきたいという気持ちもある」とのこと。


【工房にお邪魔しました】

高須さんのお住まいは、少し離れた福岡市内。
そのため、工房を出るときはいつも片付けて帰るそうで、とても綺麗に整理されていました!

そして高須さんの「求められる器」と言えばこの黄色い鉄彩のお皿。
今ではたくさんの注文を受けて作っていますが、もともと量産するつもりはなかったため、とても手間のかかる作品なんだそうです。
内側の釉薬を塗るのに外にコーティング材塗って、外側は逆に。また外側の黄色い部分の質感を出すのに釉薬を霧吹きでかけて・・・と釉薬をかけるだけでこんなに大変。

ですが高須さんは「効率を良くしようと思ってプロセスを変えてみると、やっぱりそれなりの仕上がりにしかならなかったから、このプロセスは変えようがない。自分でも気に入ってるし、気に入ってもらってるから作る」と語ります。


【ターニングポイントはまだない】

そんな高須さんに「人生のターニングポイントは?」と聞いてみると
「まだないかな、正直これから」だそうです。

こんなに愛される器を作っているのに、奢らずストイックで在り続ける高須さん。
これからの目標は、100%の磁器を作ること。
今、作ってる「使ってなんぼ」のどっしりとした器ではなく、さらに軽快で華奢でソリッドな磁器を作る目標があるそうです。土も今のとは違うもので、 来年には出したい!とのことでした。

そしてその磁器を始めとして「今の注文分や個展が終わったらまた、自分の好きなものを作ってみようと思う」と高須さん。
高須さんの作品にはサインが入っていませんが、それは作品を見てほしいから。「作品を見ただけで、自分の作品だとわかってもらえるようなものをつくり続けていきたい」と言います。


【気分転換には】

そして最後に気分転換の方法を尋ねてみると「俺、虫が好きで!」とスイッチが入ったように熱々した高須さん...!
工房の周りは自然がいっぱいで、すぐ近くには楠があり、そこにとまってるナナフシを捕まえてずーっと見たりするそうです。さらに雄のナナフシはごく稀らしく、今年の目標はその雄ナナフシを見つけること。かなりニッチです。
「それだけでだいぶ時間を使ってるかもしれない」と虫の話をするときは、ここまでの取材中で一番輝いていました!


しかし、さらに高須さんが顔を輝かせるものが!
とてもクールな印象の高須さんですが、なんと、甘いものの話になるとすぐに頬がゆるむんです。甘いものの話をしているときは「もう朝から食べれる、テンション上がるよね」とさらにキラキラする高須さんでした。
そして取材に伺ったスタッフは二人とも甘党だったので、どこのパフェが美味しい、ここのカフェがいいと情報交換し、いつか甘党を集めて糸島甘いものツアーしたいですね〜と夢が広がりました!


ストイックなものづくりの姿勢と試行錯誤の積み重ねでできた作品たち。
たくさんの人に求められる理由を少しだけ垣間見ることができました。

その一方、真顔で面白いことを言っては、クシャとした笑顔を見せてくれるお茶目な一面がとても魅力的な高須さん。
愛され続ける定番シリーズはもちろん、想いとエネルギーが詰まった新しい作品も期待大ですね!

インタビュー 千々岩 哲郎
写真と文  山下 舞