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つくり手を訪ねて
ねこめ 米倉 奈津

2013年7月

「ねこめ」として可愛らしい動物や多肉植物の鉢を作られている米倉 奈津さんの工房に伺ってお話を聞きました!
その工房は桜井の中でも、まるで南国を思わせるような低い建物とたくさんの緑に囲まれた場所にありました。


工房の中にお邪魔すると、そこにはたくさんの種類の多肉植物が育てられていました。
多肉植物は乾燥に強く、水やりを忘れてしまうズボラな人の方が上手に育てられると奈津さんは語りますが、夏場の強い日差しには弱く、夏はなかなか育たないのだそうです。
その他にも、イノシシが来たり猫に荒らされてしまったりすることもあり、日差し以外の敵も多いようです。

こうしてポットに入って並んでいるだけでも可愛らしい多肉植物ですが、奈津さんのつくる小さな丸や四角の鉢に入っていると、また随分と印象が変わりますね。


【奈津さんはどんな人?】

こーんな可愛らしい陶器を作る奈津さん。実は3人のお子さんのお母さんなんです。
若い頃からやっている水泳の先生を続ける傍ら、5年ほど前から糸島に移り住んで、焼き物を始められました。
奈津さんが焼き物を作れるのは、幼い頃からご両親が陶芸をされていた影響が大きく、家には窯や材料がそろっていたため、記憶を辿りながら見よう見まねでやってみたらなんとなく作れたとのこと。さらりとすごいです・・・!

また「子どもに水泳を教えるという行為が好き」と語る奈津さん。自分のクラスの子どもたちだと思うと、急に可愛く思えてくるのだそう。
多肉植物を扱う時の言葉やまなざしも、子どもたちを見ている時と同じかも知れないですね。それは多肉植物のことを「この子」と呼ぶ奈津さんの習慣からも伺えます。
「私は、多肉を愛しとうけんさ」と話す奈津さんの口調は、本当に子どもを見る母のまなざしのような印象を受けました。


【奈津さんの作品は可愛い?珍しい?】

ここのきに来ていただくお客さんは、奈津さんの作品を「かわいいー!」と言って嬉しそうに買って行く方が多いのですが、そのことを奈津さんに伺うと・・・
「私、可愛いって言われると恥ずかしいけん、珍しい〜って言われる方がしっくり来る」と照れた様子。
確かに奈津さんと話していると、とにかく明るくて面白くて、カッコいいという印象を受けます!でもやっぱりこの作品たちは可愛らしいなあと思ってしまいますね。
何はともあれ可愛くても珍しくても、お客さんが「どっちにしよう」と悩んで選んで買ってもらう姿を見るのはとても嬉しい奈津さんです。


【ありのままを作品に使いたい】

陶器で作ったアルファベットを流木につけたサインなども奈津さんの作品のひとつ。
「流木を拾っても使えるのは半分以下だけど、加工はしたくないと。やっぱり自分で削って丸みを出したりするのは違反だと思う。多少変でもね、ありのままを使いたい」と奈津さん。
いつも自然体の奈津さんらしい言葉です。

【器や動物たちができるまで】

多肉植物を入れる器を実際にひとつ作ってもらいました!

ー陶器が出来上がるまでの行程ー
ー蠅咾佑蠅之舛鮑遒
乾かす
A脳討(8時間)
ね劼鯲笋泙后菩慳瑤鬚ける)
ニ楙討(10時間)
Υイす


これらそれぞれの行程に1日ずつかかるため、どんなに急いでも出来上がるまでに一週間はかかるそうです。
「あんまり考えてないっちゃんね。だいたい作りながら考える。でもこういう丸みが好き〜大した作業じゃないのよ。」と言いながら、手の感覚で厚みを測りながら作っていき、 あっという間に完成。
「おにぎりを作るみたいに、私が手で作ってるからお客さんの手に合うんだと思う」と語るように、優しい丸みが作品を見ている側の気持ちも優しくしてくれます。


普段は粘土が乾くのを防ぐために、作品を作る日は集中してまとまった時間で作ります。土は4種類を作品によって使い分けており、形のこだわりとしては、以前食器を作っていた際にお客さんに重たいと言われたことを受け、上の部分は厚くして綺麗な丸みを出し、内側は薄めにしているそうです。
そして、何より大切にしていることは「出来るだけ多肉に優しい器を作りたい」ということ。
よく、性質の違う多肉植物の寄せ植えを見かけますが、多肉植物は種類によって性質が違うので、寄せ植えするとすぐに枯れてしまうのだそうです。
「枯れたけん捨てたっていうのが一番いやだから」と奈津さん。普通のお花などは土が見えないくらいにたくさん植えてありますが、土が見えた方が植物には良いため、見えても楽しいような土にこだわっているそうです。
またあの丸みの可愛らしい器も、半分から下は多肉植物が呼吸できるように、釉薬をかけないようにしているのだとか。多肉植物にも買ってくれたお客さんにも喜んで欲しいという奈津さんの気持ちが伝わります。


【動物シリーズのこだわりいろいろ】

最初に動物や家を作り始めたのは、盆栽の中に小さな人形などを置いてストーリーや世界観を与える「万盆栽」に影響を受け、多肉植物の鉢の中に置いてみたことがきっかけだっ たそうです。 「なぜこの4種類の動物なんですか?」と尋ねると、「豚とロバと牛と羊が好き」と返ってきました。ありふれたものではなく、自分の好きなものを作るという奈津さんらしい想いから、この動物たちは作られていたんですね。 さらにロバはプーさんに出てくるイーヨーがモチーフで、「あの物悲しさが好きで、ロバにはいつも荷物を背負わせるようにしている」という裏話も。


【聞きたかった!動物シリーズの見分け方】

一見すると、「これ豚?羊?」となってしまいがちな奈津さんの動物シリーズ。見分け方を聞きました。 「ロバは耳が大きくて立ってるでしょ?牛の耳は少し垂れて前に出ているし、頭の てっぺんは平らでしっぽが長い、顔が四角 張ってる。羊はしっぽが短くて、豚は耳が 前に垂れて、鼻がしっかりあって、しっぽが巻いているのが特徴。 体系は羊が丸くて、牛は後ろから見るとお尻が四角になっていて、豚は下半身が丸い。そ れから豚のしっぽは巻くのがこだわり。」
こうして丁寧に特徴を教えてもらえると、本当はそれぞれにちゃんと違うことがわかりま すね。なんだか一匹一匹の表情の違いも感じれるようになり愛着が湧いてきました。是非 みなさんも観察してみてください!


【工房でお話を伺ってみて】

奈津さんの作品づくりは、奈津さん自身の「好き」とお客さんの「声」を大切にして 作っていることがわかりました。 インタビュー中には、ここでは公開できないような話もたくさんあり、とにかく笑いが止まらない楽しいインタビューでした!話しているだけで面白く、細かいことは気にしないという感じの奈津さん。一緒に居るだけでおおらかな気持ちになり、元気をもらうことができました。これからの作品づくりにも注目です!



インタビュー 前田 綾子
写真と文 山下 舞