特集
森と生きる

森と生きるということは
森の木々と吐息を交換すること
山からうまれる川の水で田畑を潤すこと
山からうまれる川の水で工場を動かすこと
森で育まれたいのちを食すこと
森で木々を育て使うこと
森の生きものとその場を共有すること
母なる森へ、
赤ん坊の様に眼差しを向けたずねる
頂いてばかりの私たちは何をかえせますか


森からのめぐみ無くして行きられない私たちですが、日々の中で森のめぐみを感じる瞬間というものはあまりありません。つい森との関わりを忘れてしまいます。また、現代は建材などの木材はどこからともなく現れ、近くの山との繋がりを思い起こさせてはくれません。
今一度森との関係を結び直すために、小さな取り組みを始めました。
地元の木を伐り、製材し、加工し、使うこと。

木にまつわるさまざまな人の手を経由する中で、木は新たな役割を得て私たちの暮らしを支えてくれます。そんなものとの暮らしの中で森との関係を思い出し、そして、私たちの意識が森に近づいた時に再び「森と生きること」が始まります。
森と私たちの幸せな関係を小さなことからゆっくりと育てていきたいのです。

糸島材の流通

日本中の山林と同様に糸島の山々も荒廃しており、 それを何とかしたい、という想いを胸に、2010年にここのきはスタートしました。
ここのきでは糸島材を使った作品を企画しています。
糸島の木を使うことは、山の状態を保ち健康に整えることにつながります。
山を整えることは自らの暮らす土地を守り、土地を豊かにし、海を豊かにする。
その恩恵を受け、美味しいものを食べることができ、自然豊かな風景が保たれる。
自然の恵みを生かした仕事をつくり、支えられて生きていることを、暮らしの中で感じることのできるような取り組み、商品づくりを行っていきます。

自然を守ることで自然に支えられる
健全な状態を保つには木を切り倒して間引き、枝葉を落とす定期的な手入れが必要なのですが、
林業で生活が成り立たなければ、手入れを続けていくことは困難です。
山が人の暮らしを支え、人は手を入れることで山を守る。
自然と人が互いに支え合う関係であることが大切です。

人の暮らしと山や森、海などの自然がつながりなおすこと、
人と自然が寄り添って生きること、
人と人とが仲良く助けあって生きること。
糸島材の流通をつくることで、そんな生き方を取り戻していきたいと思っています。
それが、山のことだけでなく、
今の世界中のたくさんの問題を解いてくれるのではないか、と夢を見ながら歩いています。

森づくりの循環

ゆたかな森

国土の約7割が森林におおわれた日本では、古くから木を育て、生活の中に使うことで、森と共に生きてきました。
一昔前までは、小さな生活道具から燃料、家具、建築に至るまで、身近に手に入る木で何でも作られていました。また、木の実や山菜、キノコなど森から豊かな恵みを頂くと同時に、多様な生き物との共生を続けてきました。
よく「山(森)が荒れている」と言われますが、それはどのような状況なのでしょう。「ゆたかな森(山)」とはどんなものだと思いますか?
いろいろな考え方がありますが、わたしは、 人の植林した木のためだけの畑と化し、ほかの生きものの気配のしない山や森を「荒れている状態」 人が植えた植えないに限らす、多種多様な植物や動物がともに暮らす山や森を「ゆたかな森(山)」と考えています。

共存

枝打ちや干ばつなどの手入れをすることで、森に光が入り、ほかの植物が育つことができます、杉や桧の葉は分解されにくいのですが、ほかの植物が育つことで、腐葉土ができます。微生物が活発に動き、昆虫、他の生きものの餌になります。鳥や小動物などを育むことのできる森になります。
たくさんの生きものがいることで土はふかふかになり、雨をたっぷりと地中に蓄えることができます。
日本で工業が栄えたのはたくさんの水が確保できたからだと言われていますが、その水は森が蓄えてくれていたのです。
便利で都会的な暮らしを維持していくためにも、ゆたかな森を取り戻すことが必要なのだと思います。

現状

煮炊きや暖房に利用していた薪や炭は石油など化石燃料に、 落ち葉などの堆肥は化学肥料に置き換わり、 木の家はコンクリートに置き換わり、 海外からの輸入材が増え、日本の木(=国産材)の利用量が減ったため、 人の手が入らなくなった森林は放置され、“森との共存”も崩れつつあります。

木を利用することは、森づくりにつながる。

ゆたかな森を育てていくために、戦後大量に植えられ、ほどよく育った木々を利用、活用することで、森の手入れをする人を経済的に支えることができ、 森が生き返るきっかけになります。
小さな事でも、楽しみながら森と生きるアクションを今。

糸島材を使った木工製品ができるまで

伐る人(林研ワークス・山本木材)

林業地ではない糸島では戦後の拡大造林で植えられた杉桧のほとんどがそのまま育ち、今樹齢50年~60年を迎えています。間伐されず手入れの行き届かない森には光が入らないためその他の植物が育ちにくくなっています。 元気な森は杉桧とともに、中低木、草花など多様な植物が育ちます。杉桧の葉は分解されづらく腐葉土になりにくいのですが、植生が多様になることで土が豊かになります。また、多様な植物は多様な動物の食料にもなります。間伐をして光が入るようになった森には命があふれるのです。


貯木場(伊都山燦)

糸島では数年前まで間伐した木のほとんどは山に放置され使われていませんでした。間伐した木を欲しい人へ届ける流通を作るため2013年に糸島市内に「伊都山燦」という貯木場ができました。


製材所(小川製材所・堀田製材所)

丸太を製材して板や柱に加工し、木工家や大工へ引き継ぐ仕事です。製材所も経済の大きな流れの中、拡大化オートメーション化されており、小さな製材所は少なくなっています。木は1本1本性質が違います。それを見極め、作り手の希望に応える製材をしてくれる小さな腕のいい製材所はとても大切な存在です。


つくるひとへ

つかうひとへ

毎日の生活の中に木のぬくもりを

暮らしの道具に木の製品を使うことで、「香り」や「触り心地」といった、木の温もりのある生活空間をつくることができます。
木にふれることで、豊かな感性と想像力が育まれます。


うるしの丸盆

静かで凛とした佇まいの漆塗りのお盆です。木目の幅や色合いによってひとつひとつの表情が違い、使い込むほどに味がでていきます。ずっと使い続けたいモノのひとつです。漆塗りのお盆は食品を盛るトレーとしても使えます。洗剤で洗って布巾で拭くだけだから普段からどんどん使って自分だけの丸盆に育てていけます。花台としても。主に福岡、大分、佐賀県産材を使用。36cm,30cmの2サイズ。


糸島杉のペンスタンド

  デスク周りで散らかりがちなペン類をすっきりと整理する糸島杉の小物収納ケース。ずっと前からそこにあるような静かな佇まいで、すっとインテリアに馴染むデザインです。毎日使う箸やスプーンを立てて出しておけば、子どももお手伝いができます。杉は柔らかく傷がつきやすい素材ですが、その傷や汚れに家族の歴史が刻まれて思い出になっていくことでしょう。